エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
なかったことにしましょう
それから事務所の人、ひとりひとりに挨拶をして優杏が帰宅したのは夕方になってからだった。
(さすがに疲れたわ……)
久しぶりに人ごみの中を歩いた上に、例の噂について自分から説明することになるなんて……。
我が家へたどり着いた時は、もうぐったりした気分だった。
坂道を登って門の近くまできたら、男性の姿が見えた。
「やあ……」
「あ……」
あの日、気まずいまま別れた煌斗だ。
バラのアーチに飾られた、アイアン門扉の前に立っていた。