エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
次第に、彼と話すのは兄の思い出だけではなくなっていた。
彼が手掛けた不動産の情報やニューヨーク時代の話は興味深かったし
優杏が手掛けているWebデザイナーの仕事に興味を持ってくれているようで
何時間でもふたりならおしゃべりできそうだった。
(ここに来るより、奥さんが待っている家に帰った方がいいのに……)
自分が彼を引き留めてしまっているかもしれない罪悪感はあったが、
煌斗と過ごす時間は楽しかった。
あれから彼も自重してくれているのか、キスした時のような甘い雰囲気にはならずにいた。
(妹として大切にしてくれているのを勘違いしちゃダメ)
親友の妹だというだけなのに、彼は親切すぎるのだ。
優杏は彼へ心が揺れていくのを抑えようと努力していた。
(これ以上、あなたを好きにさせないで)
固く戒めていないと、煌斗への思いが再び燃え上がりそうで怖かったのだ。