エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


こんな時の電話はありがたい。
優杏は電話に出るなり、彼の名前を呼んでしまった。

「煌斗さん!」
『優ちゃん、大丈夫か?』

気遣うような煌斗の優しい声を聞くと、優杏は泣きそうになった。

「あの……心配して連絡してくれたの?」

少し沈黙したあと、煌斗が言葉を続けた。

『ああ、かなりの雨量が予想されているから気になって。何か家の周りで変わったことはない?』

「今のところは特に……」
『役所からの連絡とかニュースとか気をつけておいた方がいい』

「この辺り、危ないの?」

ピカッと明るい光が部屋に差し込んできた。
雷が近づいてきたのか、稲光がカーテン越しでもわかるようになったのだ。
数秒後にドーンと大きな音がする。何処かに雷が落ちたのだろうか。

『この前見に行った西の法面が気になったんだ』

「気になるって……どんなふうに?」

雷が苦手な優杏は、少し声が震えている。

『最悪、崩れなければいいんだが』
「えっ⁉」

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