エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
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「無事でよかった……」
煌斗に背や髪を撫でられながら、優杏は彼の腕に強く抱きしめられていた。
お互い濡れ鼠だが、そんなことはどうでも良かった。
彼の体温と自分の体温が徐々に溶け合っていく。
ふたりの周りで大きく渦を巻いて、ひとつの熱になっていくようだ。
「すぐに、俺の家に行こう」
「え?でも……」
「西側が少し崩れかけている。急ごう」
優杏は煌斗に言われるがまま、着替え程度の荷物を持つ。
戸締りをしてから家を出た。ムサシも一緒に連れて行く。