エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
雷は遠くに聞こえるようになったが、雨はまた強く降り始めていた。
煌斗の車に乗る時、びしょ濡れなので戸惑っていたら抱き上げられて中に座らされた。
「車は掃除すればいいんだから、少しでも早くここから離れよう」
「は、はい」
ブルっと優杏が震えたので、煌斗が大きなタオルを掛けてくれた。
でも、それは雨で冷えたせいではない。
煌斗に抱き上げられたときの腕や胸板の逞しさが、
彼女の心の奥にあった何かを呼び覚ましてしまったのだ。
(身体が火照る……)
濡れた身体は冷たいはずなのに、優杏は全身で煌斗を求めていた。