エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
通いあう心
片岡家は成城にある。
和風でありながらモダンさを追求したような豪華な平屋建てだ。
ようやく雨は止んだが、もう真夜中だ。
代々の当主が受け継いできた風情ある庭も、今は真っ暗で見えない。
煌斗はガレージに車を入れると、助手席に回って優杏の手を取るようにして下ろしてくれた。
「さ、入ってくれ」
「おじゃまします……」
煌斗に連れられてここまできてしまったが、まだ優杏は戸惑っていた。
「心配しなくていい。親父は留守だし、兄貴はここに住んでいないから」
「え?」
「父は長期出張。兄はずいぶん前に、自分で買ったマンションへ引っ越したんだ」