エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
失礼かとも思ったが、優杏は気になっていたことを口にした。
「なに?」
「片岡さん、今日は奥様はお留守なんですか?」
妻の留守に家に上がり込むのは失礼な気がして、優杏は恐る恐る尋ねた。
「あ……そのことか」
困ったような顔をしてから、煌斗がゆっくり答えた。
「一年前に、離婚したんだ。その前から別居してた」
「えっ?」
思わず優杏は大きな声を出してしまった。
「ごめん、言いそびれてた」
「いえ、謝っていただくことでは……」
まさかと思う気持ちが強くて、優杏は言葉を続けることができなかった。
「言いにくくてね、君は既婚者だって信じ込んでたから」
「はい。三年くらい前にアメリカでご結婚なさったって兄に聞いていたので」
「そうか、悠慎が……」