エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
*******
結局ふたりはキス以上に進むことはなく、優杏は煌斗のベッドで安らかな寝息を立てている。
(優杏……)
急だったから客用寝室の準備が整っていないことを理由に、煌斗は自分の部屋に優杏を招き入れた。
ふたりとも同じベッドで休むことになったのだ。
優杏は素直に煌斗の部屋に入ってきた。
ふたりで横たわると、煌斗はそっと彼女を抱きしめた。
「安心して……今日はこのまま眠ろう……」
煌斗にとっては拷問のような時間だったが、疲れていた優杏に無理はさせたくない。
煌斗が背中を撫でていると、彼女はすぐに眠りに落ちた。
『何もしないから』という約束で同じベッドに入ったのだ。
寝ている優杏にキスをするのも憚られた。
(じっと寝顔を眺めるのも悪くない)
そう思っているうちに、煌斗もウトウトしてしまった。
(目覚めたら彼女がいなかったなんてことはないよな……)
そんなバカなことが気になってしまうほどの浅い眠りだった。