エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「もし安全が確認されたら、明日荷物を取りに行こう」
優杏の不安を感じたのか、煌斗が提案してくれた。
「え?」
「しばらくここに住む荷物がいるだろう?」
思わず優杏はときめいた。同じ屋根の下に彼と住むなんて夢のようだ。
でも、いきなりは厚かましいかと躊躇した。
「ご迷惑じゃあ……」
「なに言ってるんだ。道路や庭の工事が終わらないと住めないよ」
「あ……そうですね」
「君にはここに居て欲しい」
力強い彼の言葉に頷きそうになったが、ここは父親の屋敷なのだ。
「おじさまには、なんて言えばいいんでしょう」
「……婚約したと言っておけば、問題ないだろう」
「こ、婚約って言われましたか?」
何気なく煌斗は口にするが、優杏は間違いかと思って聞き直してしまった。
「嫌か?」
「いえ、昨夜から慌しくて心の準備が……」
(お互いの気持ちを知って、たった半日で婚約者になっていいの?)
展開の速さに優杏は驚きを隠せなかった。