エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「お兄さまのこと、よく存じ上げておりますよ。ほんとにいい方で……」
彼女も兄の死を悼んでくれているのだろう。
「ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです」
思わず優杏も目頭が熱くなる。それを察して、煌斗が話を変えた。
「三谷さん、彼女は当分ここに住むから」
「は?」
三谷がもともとクリっとしている目をさらに見開いた。
「俺の、婚約者として」
「まああ!」
彼女は家政婦という立場ながら煌斗には遠慮などしないのだろう。
嬉しそうに力いっぱい彼の腕をバシッと叩いた。
「よろしゅうございました!」
「痛いよ、三谷……」
「どれだけそのお言葉を待っていたことか!」
いつもは余裕のある表情の煌斗も、少し照れくさそうに見える。
そのやり取りが可笑しくて、優杏がクスッと笑うと煌斗が渋い顔をした。