恋人の木
【8】永遠の証
~桜木中学~
お酒の飲めない武志は、自分の車で、先に着いた。
夜の校舎はひっそりとして、やはり不気味なものである。
校庭の桜は、今も変わらず見事で、外灯の明かりにライトアップされて綺麗であった。
バスが到着し、秀樹があらかじめ借りていた鍵で、門を開ける。
それぞれ期待と不安を胸に、中へと入っていった。
校庭の一番奥に、その小さな桜の木は、あの頃とかわらぬまま立っていた。
花は、やはり咲いてはいなかった。
『やっぱり、咲かねぇか。』
みんな本心では、あるはずがないと分かってはいたものの、どこかで「もしかしたら」とも思っていたのであった。
ため息に包まれる「恋人の木」。
『では、男ども!例の袋を渡すぜ。今はまだ咲いていないが、もしかすると、咲くかもしれねぇからな。みんな頑張れよ。』
暫くは、笑い合う者、ボーっと落ち込む者、握手をする者、涙する者、様々な風景で賑わった。
『武、見てくれ。オレは何と3つも入ってたぜ。一応3人共、メルアドを交わしたし…。お前は?』
『ハハ、オレは分かっているからいいんだ。こんなの。』
武志が、ここにいない彼女を思っていることを知った秀樹は、それ以上は言わなかった。かくして、ミステリックな同窓会は終わった。
バスの前には、ガイドが待っていた。みんなが乗り込むのを見ながら、秀樹は武志に話しかけた。
『元気出せよ!彼女はきっとどこかでちゃんとやってるさ。お前も早く立ち直れよ。』
『ああ、サンキュ。楽しかったよ。』
『しっかし、藤原先生が生きていたら、さぞがっかりしただろうな。』
(・・・?)
『何だって?先生は亡くなったのか?』
『そうか!バスの中で話したんだが、お前には言ってなかったな。先生はあれから1年で逝っちまったんだってよ。癌で。』
『しかし、ガイドが連絡を取ったと・・・』
『はぁ?なんだそりゃ。とにかくもういないんだ。』
武志は、あの時の寂しげな藤原の表情を思い出した。
『先生は、それが分かっていて・・・』
『そういうことだ。それからな、先生の先祖は、代々この地の地主であったらしい。』
『もしかして・・・』
『ああ、例の話の中で、命と引き換えに、100年に一度の約束をしたのは、先生のご先祖様なんだってよ。』
それが、藤原が「恋人の木」に執着した理由であった。
お酒の飲めない武志は、自分の車で、先に着いた。
夜の校舎はひっそりとして、やはり不気味なものである。
校庭の桜は、今も変わらず見事で、外灯の明かりにライトアップされて綺麗であった。
バスが到着し、秀樹があらかじめ借りていた鍵で、門を開ける。
それぞれ期待と不安を胸に、中へと入っていった。
校庭の一番奥に、その小さな桜の木は、あの頃とかわらぬまま立っていた。
花は、やはり咲いてはいなかった。
『やっぱり、咲かねぇか。』
みんな本心では、あるはずがないと分かってはいたものの、どこかで「もしかしたら」とも思っていたのであった。
ため息に包まれる「恋人の木」。
『では、男ども!例の袋を渡すぜ。今はまだ咲いていないが、もしかすると、咲くかもしれねぇからな。みんな頑張れよ。』
暫くは、笑い合う者、ボーっと落ち込む者、握手をする者、涙する者、様々な風景で賑わった。
『武、見てくれ。オレは何と3つも入ってたぜ。一応3人共、メルアドを交わしたし…。お前は?』
『ハハ、オレは分かっているからいいんだ。こんなの。』
武志が、ここにいない彼女を思っていることを知った秀樹は、それ以上は言わなかった。かくして、ミステリックな同窓会は終わった。
バスの前には、ガイドが待っていた。みんなが乗り込むのを見ながら、秀樹は武志に話しかけた。
『元気出せよ!彼女はきっとどこかでちゃんとやってるさ。お前も早く立ち直れよ。』
『ああ、サンキュ。楽しかったよ。』
『しっかし、藤原先生が生きていたら、さぞがっかりしただろうな。』
(・・・?)
『何だって?先生は亡くなったのか?』
『そうか!バスの中で話したんだが、お前には言ってなかったな。先生はあれから1年で逝っちまったんだってよ。癌で。』
『しかし、ガイドが連絡を取ったと・・・』
『はぁ?なんだそりゃ。とにかくもういないんだ。』
武志は、あの時の寂しげな藤原の表情を思い出した。
『先生は、それが分かっていて・・・』
『そういうことだ。それからな、先生の先祖は、代々この地の地主であったらしい。』
『もしかして・・・』
『ああ、例の話の中で、命と引き換えに、100年に一度の約束をしたのは、先生のご先祖様なんだってよ。』
それが、藤原が「恋人の木」に執着した理由であった。