離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる
結婚は両家にとってほぼ確定事項だった。兄や美優さんに気を遣わせないためにも、両家のためにも、私と瑛理が縁を結んでおいた方がいい。
「この前のお式だって、私たちの友人なんかいなくて、会社関係者ばっかりだったでしょう。古賀家と志筑家が親戚になりましたよってアピールじゃない。あのお式で、充分私も瑛理も仕事をしたと思う。ここから先、性格の不一致で離婚しても、結婚式の参列者に言いふらす理由もないし、外側から見たら両家は親戚のままだと思う。もともと仲もいいんだし」
「そう、うまくはいかないだろう。今度は跡継ぎを期待されるぞ」
跡継ぎ。その言葉に私はうつむいた。考えていなかったわけじゃない。でも言い訳は用意してある。
「古賀製薬の次期社長は兄さん、しづきの次期社長は誠さん。その次の代の跡継ぎはふたりが期待されることで、私と瑛理に赤ちゃんが産まれても跡継ぎ云々って話にはならないよ。せいぜい、両家仲良しの象徴って程度だし、親たちもどこへ自慢することもない」
「普通に親たちは期待するだろ。会社関係なく。初孫なんだから」
「そこが相談なのよ」
私は言葉をきって、瑛理を見つめた。
「私たちの離婚を、兄さんと誠さんがそれぞれ結婚式を挙げたあとにするのはどうかな。後継者たちの結婚の方が、私たちの結婚よりおめでたいんじゃない? その影で、こっそり離婚するっていうのはどう?」
後継者にパートナーができ、そちらに跡取りができれば、一族経営の古賀家も志筑家も安泰。
ただの仲良しの象徴である私たち夫婦が、無理に関係を続ける必要はない。おめでたいムードの裏でひっそり離婚したって、両親は許してくれそうなものだ。
「この前のお式だって、私たちの友人なんかいなくて、会社関係者ばっかりだったでしょう。古賀家と志筑家が親戚になりましたよってアピールじゃない。あのお式で、充分私も瑛理も仕事をしたと思う。ここから先、性格の不一致で離婚しても、結婚式の参列者に言いふらす理由もないし、外側から見たら両家は親戚のままだと思う。もともと仲もいいんだし」
「そう、うまくはいかないだろう。今度は跡継ぎを期待されるぞ」
跡継ぎ。その言葉に私はうつむいた。考えていなかったわけじゃない。でも言い訳は用意してある。
「古賀製薬の次期社長は兄さん、しづきの次期社長は誠さん。その次の代の跡継ぎはふたりが期待されることで、私と瑛理に赤ちゃんが産まれても跡継ぎ云々って話にはならないよ。せいぜい、両家仲良しの象徴って程度だし、親たちもどこへ自慢することもない」
「普通に親たちは期待するだろ。会社関係なく。初孫なんだから」
「そこが相談なのよ」
私は言葉をきって、瑛理を見つめた。
「私たちの離婚を、兄さんと誠さんがそれぞれ結婚式を挙げたあとにするのはどうかな。後継者たちの結婚の方が、私たちの結婚よりおめでたいんじゃない? その影で、こっそり離婚するっていうのはどう?」
後継者にパートナーができ、そちらに跡取りができれば、一族経営の古賀家も志筑家も安泰。
ただの仲良しの象徴である私たち夫婦が、無理に関係を続ける必要はない。おめでたいムードの裏でひっそり離婚したって、両親は許してくれそうなものだ。