離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる
車を走らせ羽田空港へ向かう。時間通り兄は到着し、出迎えの私の元へ歩み寄った。
「ただいま、柊子。迎えに来てくれてありがとう」
「いいえ。気にしないで、兄さん。でも、本当は彼女さんのお迎えが良かったんじゃない?」
ニヤニヤして見せるけれど、兄は平気な顔だ。
「瑠衣(るい)とは明日会うから大丈夫だよ」
兄には大学時代から交際している美人の彼女がいる。実は私はまだ会ったことがない。名前と写真を見たことがあるくらい。
このあたりはちょっと色々事情があるのだけれど、今は置いておく。
「母さんが張り切って夕飯を作ってるよ。今日はラザニヤにビーフストロガノフ。あとりんごの入ったポテトサラダ! 兄さんの好きな料理ばかりだからね」
「それは楽しみだ。あれ? 瑛理もいるんだよな」
兄の口から出た夫の名に、私は黙った。気まずそうな沈黙を感じ取って、兄がメガネを押し上げ苦笑いした。
「やっぱり瑛理とうまくいっていないのか? まだ新居も決めていないんだろう?」
「や、やだなあ。仲良くやってるよ。瑛理は今日、忙しくて来られないの。同居も、ふたりでじっくりマンションや家具を選びたいから、急いで決めないようにしようねって言ってるだけ」
「それなら、いいけど。ほら、俺や美優(みゆう)や誠(まこと)の中では、柊子と瑛理は子どもの頃から喧嘩ばかりだったイメージだから、結婚しても喧嘩してるんじゃないのかなあって、ね」
私はあははと曖昧に笑う。なお、誠さんは瑛理のお兄さん、美優さんは瑛理のお姉さん。私たち兄妹と瑛理たち兄弟は幼馴染でもある。
「ただいま、柊子。迎えに来てくれてありがとう」
「いいえ。気にしないで、兄さん。でも、本当は彼女さんのお迎えが良かったんじゃない?」
ニヤニヤして見せるけれど、兄は平気な顔だ。
「瑠衣(るい)とは明日会うから大丈夫だよ」
兄には大学時代から交際している美人の彼女がいる。実は私はまだ会ったことがない。名前と写真を見たことがあるくらい。
このあたりはちょっと色々事情があるのだけれど、今は置いておく。
「母さんが張り切って夕飯を作ってるよ。今日はラザニヤにビーフストロガノフ。あとりんごの入ったポテトサラダ! 兄さんの好きな料理ばかりだからね」
「それは楽しみだ。あれ? 瑛理もいるんだよな」
兄の口から出た夫の名に、私は黙った。気まずそうな沈黙を感じ取って、兄がメガネを押し上げ苦笑いした。
「やっぱり瑛理とうまくいっていないのか? まだ新居も決めていないんだろう?」
「や、やだなあ。仲良くやってるよ。瑛理は今日、忙しくて来られないの。同居も、ふたりでじっくりマンションや家具を選びたいから、急いで決めないようにしようねって言ってるだけ」
「それなら、いいけど。ほら、俺や美優(みゆう)や誠(まこと)の中では、柊子と瑛理は子どもの頃から喧嘩ばかりだったイメージだから、結婚しても喧嘩してるんじゃないのかなあって、ね」
私はあははと曖昧に笑う。なお、誠さんは瑛理のお兄さん、美優さんは瑛理のお姉さん。私たち兄妹と瑛理たち兄弟は幼馴染でもある。