OL 万千湖さんのささやかなる野望
「すべては、課長が七福神様を買ってくださったおかげです」

 ……見合いに来てくれてよかったというのは、そのおかげで、二人で100均に行って、七福神を買って、モデルハウスと三千円が当たってよかったという話か?

 万千湖は玄関の方を見ながら、
「ほんとうは七福神様に感謝を込めて、こっちの玄関に置きたいところなんですが……。
 似合わないですよね」
と苦笑いする。

「いいぞ」
「え?」

「こっちに置けよ、七福神」
「そ、そうですか?」

 万千湖は遠慮しながらも、いそいそと部屋から七福神を持ってきた。

 もこもこの藤色のハンカチに大事にくるまれたそれを、ちょっと寒い玄関に万千湖は、そっと置いていた。

 ちんまりとした七福神様とそれをちんまりと拝む万千湖。

 その背を見ながら、駿佑は思っていた。

 ……どうしよう。

 一緒に家なんか買ったりして、早まったかな。
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