OL 万千湖さんのささやかなる野望
「あー、好きなんですよね~、住宅展示場。
 でも、買わないのに行くのも悪いですよね。

 あっ、でもそういえば、実家、建て替えるかもしれないって言ったんですよ。

 ちょっと見に行ってみたい気もしますね」

「じゃあ、日曜、住宅展示場に行ってみるか」

「いいですねー」

 あっさり話はまとまり、日曜日、駿佑がマンションまで迎えに来てくれることになった。

 住宅展示場か。
 楽しみだな~。

 お母さんたちに実家の建て替えの参考になればと思って見に行くって言おうかな。

 いや、一緒に行くとか。
 その日より他の日がいいとか言い出しそうだから、またにしよっと。

 万千湖はまた日記を開いた。

『課長と住宅展示場に行くことになりました』

 今度はスケジュール帳を開く。

 『約束』のシールと回転寿司の文字の下に、水族館、と書き足す。

 そして、その下。
 次の日曜の枠に、さあ、いよいよっ、と一生使うことがないと思っていたデートのシールを貼り、住宅展示場、と書き込んだ。
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