暴走環状線
〜東京〜
お台場、警視庁凶悪犯罪対策本部。
23:00、刑事課の電話が鳴る。
「はい刑事課」
「練馬署交通課の轟《とどろき》です。信号無視で走る不審な車を追跡中。運転手は、電話で誰かと話しています。例の事件の可能性が」
「分かったから無理に停めないで、それからあまり近付き過ぎない様に」
電話を固定から自分の携帯へ移し、スピーカーフォンに切り替える。
「ナンバーをこれに送って」
直ぐにメールで写真が届いた。
「昴、ナンバー照会を!」
素早くキーを叩く。
「咲さん出ました。浜田智久 35歳、前科なし。派遣会社に勤務」
と、その時。
「危ないッ❗️」轟の叫び声。
「ガン❗️ギュルギュルギュル、ガシャン❗️」
激しいスリップ音と衝突音。
「轟さん、なに…」
「ドドーン💥」
赤信号で交差点に突っ込んだ浜田の車が、左からきたトラックに跳ね飛ばされ、爆発した。
「クソッ!」
悔しがる咲。
「昴、救急車と鑑識班を現場へ!」
「手配済みです」
咲の携帯が鳴る。
「咲さん、紗夜です。爆発した車のナンバーから、持ち主は加藤吾郎 33歳。暴力沙汰で数回拘留歴はありますが、他には特に」
「了解。次は今から送る練馬に向かって。6軒目発生よ」
「え〜またですか?」
紗夜の隣でボヤく宮本淳一。
目で注意する妻の紗夜。
「咲さん、怪我人は?」
「ダメみたいだわ」
「鑑識班が足りないわね…本庁へ応援要請をお願いします」
(いったい、何が起きてるの…)
つい3日前から都内では、車を対象とした爆破事件が続いていた。
ただし、人身被害は今夜が初めてである。
「今までのは、予行演習ってことか」
刑事課長の富士本恭介が、ボソリと呟く。
そして、同時に始まったのが、裏サイトの『デス・トレイン』。
駅の監視カメラなどに映った過去の事故映像が流れ、フォロワー数は100万人を超えていた。
「こんな時に限って、豊川さんは…全く」
鑑識部と科学捜査部を束ねる豊川勝政は、珍しく休暇を取り、妻と2人旅の最中であった。
「咲、昴、二人の共通点を探すんだ。必ず何かある」
それは犯人の誘導かもしれない。
長い刑事の勘が、その予感を生む。
しかし、今はそれが唯一の糸口であった。
お台場、警視庁凶悪犯罪対策本部。
23:00、刑事課の電話が鳴る。
「はい刑事課」
「練馬署交通課の轟《とどろき》です。信号無視で走る不審な車を追跡中。運転手は、電話で誰かと話しています。例の事件の可能性が」
「分かったから無理に停めないで、それからあまり近付き過ぎない様に」
電話を固定から自分の携帯へ移し、スピーカーフォンに切り替える。
「ナンバーをこれに送って」
直ぐにメールで写真が届いた。
「昴、ナンバー照会を!」
素早くキーを叩く。
「咲さん出ました。浜田智久 35歳、前科なし。派遣会社に勤務」
と、その時。
「危ないッ❗️」轟の叫び声。
「ガン❗️ギュルギュルギュル、ガシャン❗️」
激しいスリップ音と衝突音。
「轟さん、なに…」
「ドドーン💥」
赤信号で交差点に突っ込んだ浜田の車が、左からきたトラックに跳ね飛ばされ、爆発した。
「クソッ!」
悔しがる咲。
「昴、救急車と鑑識班を現場へ!」
「手配済みです」
咲の携帯が鳴る。
「咲さん、紗夜です。爆発した車のナンバーから、持ち主は加藤吾郎 33歳。暴力沙汰で数回拘留歴はありますが、他には特に」
「了解。次は今から送る練馬に向かって。6軒目発生よ」
「え〜またですか?」
紗夜の隣でボヤく宮本淳一。
目で注意する妻の紗夜。
「咲さん、怪我人は?」
「ダメみたいだわ」
「鑑識班が足りないわね…本庁へ応援要請をお願いします」
(いったい、何が起きてるの…)
つい3日前から都内では、車を対象とした爆破事件が続いていた。
ただし、人身被害は今夜が初めてである。
「今までのは、予行演習ってことか」
刑事課長の富士本恭介が、ボソリと呟く。
そして、同時に始まったのが、裏サイトの『デス・トレイン』。
駅の監視カメラなどに映った過去の事故映像が流れ、フォロワー数は100万人を超えていた。
「こんな時に限って、豊川さんは…全く」
鑑識部と科学捜査部を束ねる豊川勝政は、珍しく休暇を取り、妻と2人旅の最中であった。
「咲、昴、二人の共通点を探すんだ。必ず何かある」
それは犯人の誘導かもしれない。
長い刑事の勘が、その予感を生む。
しかし、今はそれが唯一の糸口であった。