ハロー、愛しのインスタントヒーロー
つるりと本音が口から零れて、目の前の男の子たちが怒り出した。
そのまま大声で文句やら悪口やら言われたけれど、そいつらが騒いでくれたおかげで近所の人が出てきて、事は収まった。
「あやちゃんは、ずっと私のそばにいたらいいよ。そうしたら、なんにも怖くないもん」
深い意味なんてない。ただ近くで騒がれるのが嫌だっただけで、特別助けたいとか、そんなことを考えていたわけじゃなかった。だからあっさりと言えた。
私の言葉に、絢斗は嬉しそうに笑って、でもちょっとだけ泣いていた。
「うん、そうする。ずっと一緒にいるよ。ななちゃん」
私たちが文字通りずっと一緒だったのは、その時からだ。
公園の砂場で作ったお城、蛇口が固くて二人で捻らないといけなかった水飲み場、高いところが苦手な絢斗が嫌がった滑り台。
私が家に帰りたくない、と駄々をこねた日は、絢斗が一緒に遅くまで遊んでくれた。公園まで絢斗のお母さんが迎えに来て、二人でよく怒られていた。
私たちは、ずっと一緒だったのだ。
小学四年生の冬、絢斗が知らない町に引っ越してしまうまでは。