ハロー、愛しのインスタントヒーロー



突然、奈々ちゃんと会えなくなった。
冬休みにたくさん遊ぼうって約束していたのに、奈々ちゃんの家に行っても出てきてくれない。

やっと冬休みが明けた日の学校にも、奈々ちゃんは来なかった。
自分から先生に「プリントを届けます」と言って、その日の放課後に奈々ちゃんの家に行った。


「ななちゃん、プリントもってきたよ」


背伸びしてインターホンを押す。二回、三回。やっぱり奈々ちゃんは出てこない。


「ぐあいわるいのー?」


ちょっとだけ声を大きくして聞いてみる。それでも返事はない。
思い切って息をいっぱい吸って、叫んでみた。


「ななちゃーん、いないのー!?」

「……あや、ちゃん?」


ドアの向こうから、小さく僕を呼ぶ声がした。びっくりして息を止める。


「あやちゃん、きてくれたの……?」

「そうだよ! ななちゃん、げんき?」

「……うん。げんき、だよ」

「ぼくね、プリントもってきた! だから、ドアあけて?」


十秒待ってもドアは開かない。変だな、と思って、もう一度声を掛けようとした時、ゆっくりとドアが開いた。


「ななちゃん……?」

< 155 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop