ハロー、愛しのインスタントヒーロー
*
「あっつー。てんちょー、アイス奢って」
「アイス食べないと働けない~。いらっしゃいませも言えない~」
「はいはい口だけじゃなくて手も動かす」
真夏の店内は地獄だ。店内、といっても主にキッチンだけれど。
「此花さん、それ持ってったら休憩入っていいよー」
アイスをせがむ学生アルバイトたちを綺麗にスルーし、店長が私にそう言い渡した。
「分かりました」
「最近毎回ロングだけど疲れてない? すごい助かってるけどさ。啓介もなかなか入れないし」
井田くんとは結局、少し気まずいままだ。一度もシフトが被っていない。彼も受験を控える三年生だし、夏休みはあまり出勤できないと聞いていた。
「大丈夫です。どうせ暇なので」
常に動いていた方がいい。余計な心配をしなくて済む。
なるべく疲れて帰った方がいい。寝付きが良くなる。
端的に返事をした私に、店長は「そう?」と安堵した様子で息を吐いた。
その日はあまり混んでいなかったこともあり、予定より一時間早く上がらせてもらうことになった。
「顔色良くないし、きっと疲れ溜まってるんだと思うよ。ご飯食べてしっかり寝なね」
「あっつー。てんちょー、アイス奢って」
「アイス食べないと働けない~。いらっしゃいませも言えない~」
「はいはい口だけじゃなくて手も動かす」
真夏の店内は地獄だ。店内、といっても主にキッチンだけれど。
「此花さん、それ持ってったら休憩入っていいよー」
アイスをせがむ学生アルバイトたちを綺麗にスルーし、店長が私にそう言い渡した。
「分かりました」
「最近毎回ロングだけど疲れてない? すごい助かってるけどさ。啓介もなかなか入れないし」
井田くんとは結局、少し気まずいままだ。一度もシフトが被っていない。彼も受験を控える三年生だし、夏休みはあまり出勤できないと聞いていた。
「大丈夫です。どうせ暇なので」
常に動いていた方がいい。余計な心配をしなくて済む。
なるべく疲れて帰った方がいい。寝付きが良くなる。
端的に返事をした私に、店長は「そう?」と安堵した様子で息を吐いた。
その日はあまり混んでいなかったこともあり、予定より一時間早く上がらせてもらうことになった。
「顔色良くないし、きっと疲れ溜まってるんだと思うよ。ご飯食べてしっかり寝なね」