ハロー、愛しのインスタントヒーロー
もしかすると、母が帰ってくるかもしれない。こんなところを見られたら、三日間は機嫌が悪くなって私に当たってくるだろう。
自分だって男を連れ込んだり、男のところへ行って帰ってこなかったりするくせに、そのことを棚に上げるのは勘弁して欲しいものだ。
「はいはい分かったって。冷たいよなー、お前は。やることやったらサヨナラですか」
「そっちだって同じようなもんでしょ」
「あは、バレてる」
あは、じゃねえよ、気持ち悪い。
今日が土曜日じゃなきゃ良かったのに。平日だったら、学校に行くから、という理由であっさりと別れることができたはずだ。それくらいがちょうどいい。
今後は休日にずれ込まないように時間帯を考えよう、と反省した。
行為が終わった後のまどろむ空気とか、ピロートークとか、全部全部気持ち悪い。吐き気がする。
どうせそこに愛はないのだ。余韻に浸っているだけ。独りよがりの自己満足。
今もそうだ。一緒にシャワー浴びる? ご飯食べる? なんて、そんな恋人ごっこは虫唾が走って仕方がない。
だって、最後にはみんな簡単に私を置いていく。自分の欲を満たせればそれでいいという話だ。