ハロー、愛しのインスタントヒーロー


目的こそ不明だけれど、嫌な予感しかしなかった。
睨みつけて問うた私に、冷ややかな笑みを貼り付けていた彼が表情を切り落とす。両腕を伸ばし、私の肩を無遠慮に押した。


「いっ、」


背中から床に倒れ込む。激痛にたまらず顔をしかめた。


「奈々ちゃん……!?」


物音と私の声で、ようやく只事ではないと判断したらしい。絢斗がドアの向こうで焦ったように私を呼ぶ。


「ねえ。もう一度聞くけど、あんたが俺を知ったのはいつだっけ?」


日比野くんが私の顔の真横に足を置いた。靴は脱ぎなさいよ、などと言っている場合ではない。


「だから、二年の時だって……」

「あーあ。せっかくチャンスをあげたのにもったいない。残念だね」

「うっ、」


どかっとお腹の上に座り、そのまま馬乗りの状態で、彼が私の手首を掴む。


「やっぱりなーんにも覚えてなかったんだ。最低で最悪な此花奈々ちゃん」

「何……やだっ! 離して!」


ブレザー、ワイシャツ、とボタンを次々外されていく。日比野くんの手がブラジャーに伸びた時は、さすがに全力で身を捩って抵抗した。
これは、そういう(・・・・)プレイなんかじゃない。本気だ。日比野くんは、本気で過ちを犯そうとしている。


「奈々ちゃん!? どうしたの!? ねえ!」

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