ハロー、愛しのインスタントヒーロー
*
絢斗は不思議な男の子だった。
家が近いからという理由で、一緒に登下校したり遊んだりしていたことは覚えている。多分、絢斗が勝手に私についてきていたような気がするけれど。
いつも私の後ろを追いかけてきて、へらへら笑っていた。
へらへら、ふわふわ、と掴みどころのない彼は、私と一緒に女の子の輪の中にいることも多く、「女みたいだ」と揶揄われていた。
どことなく中性的な部分があるのは確かで、クラスの男子が絢斗をいじめ始めたのだ。
絢斗は思ったことがすぐ顔に出る。それに、結構泣き虫だ。だから女の子みたいと言われるし、いじめられる。
学校からの帰り道。絢斗をいじめる男の子たちが、私と絢斗を取り囲んだ。
「おとこおんなー! きもーい!」
「また泣くのかー? だっせー!」
隣で青いランドセルを背負っている絢斗が、ぎゅ、と唇を噛む。泣きそうな顔。
関係ない私まで巻き込まれているのが面倒だったのと、くだらないなあと呆れたのと。その時は、あんまり深く考えていなかったのだと思う。
「きもくないしださくない。そーやっていじめてるほうが、かっこわるいじゃん」
絢斗は不思議な男の子だった。
家が近いからという理由で、一緒に登下校したり遊んだりしていたことは覚えている。多分、絢斗が勝手に私についてきていたような気がするけれど。
いつも私の後ろを追いかけてきて、へらへら笑っていた。
へらへら、ふわふわ、と掴みどころのない彼は、私と一緒に女の子の輪の中にいることも多く、「女みたいだ」と揶揄われていた。
どことなく中性的な部分があるのは確かで、クラスの男子が絢斗をいじめ始めたのだ。
絢斗は思ったことがすぐ顔に出る。それに、結構泣き虫だ。だから女の子みたいと言われるし、いじめられる。
学校からの帰り道。絢斗をいじめる男の子たちが、私と絢斗を取り囲んだ。
「おとこおんなー! きもーい!」
「また泣くのかー? だっせー!」
隣で青いランドセルを背負っている絢斗が、ぎゅ、と唇を噛む。泣きそうな顔。
関係ない私まで巻き込まれているのが面倒だったのと、くだらないなあと呆れたのと。その時は、あんまり深く考えていなかったのだと思う。
「きもくないしださくない。そーやっていじめてるほうが、かっこわるいじゃん」