【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
いくら好きな人からだってこれは嬉しくない。ファーストキスは絶対両想いになってからってきめていたのに。




乙女の夢ってこうして儚く終わっていくものなのね。




「小鳥遊」




「何よ…早く離して」




いつまで腰に手、当ててるのよ。顔の距離もほとんど変わらないから目をあまり合わせられないし。





「小学生の時のこと、覚えてるか?」





なんで今その話をするのよ。急に言われても思い出せない。




稲葉くんといた時、楽しかったのは覚えているけど。





「あんまり覚えてない」





それ以外がこれっぽっちも。





「俺がお前に最後に言ったことは?」





稲葉くんが最後に言ったこと…もしかしてあの時のこと?






あの時のことだけは正直、思い出せないでいる。





何回夢に見てもその最後の言葉だけは分からないまま。




でもそれを聞いてくると言うことは稲葉くんは答えを知っているんだ。なら聞いてみよう。




「ごめん。何かを言ったことは覚えいるんだけど、思い出せないの。稲葉くんが最後に私に言った言葉…。稲葉くんは覚えているの?」
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