【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
「もっとこっちに……」



背中に腕を回してより自分の近くに雅を近づけようとした。



「待ってよ」



両手で稲葉の身体を押して近づくのを拒否した。



我に返ったのか、稲葉は近づけていた身体をはなす。



「なんだよ」



気に食わなかったのか、不機嫌そうにムッとなる。




「今はこんな事している場合じゃないでしょ?お願いだから真剣に考えて」




稲葉くんのペースに流されていたら話が進まない。



毎回キスはドラマチックじゃないし。それに、前より強引だった……って、今はそれどころじゃない…!



「そうだったな」




もしかして忘れてた?伊達メガネ外すだけでこんなに人の人格が変わるものなんだ。




「それでクラス会行くのか?」




まだ不機嫌なのか、稲葉は腕も足も組んで偉そうに問いかける。




「行くよ。少しだけ居れば水谷くんも納得するだろうし。それに、稲葉くんのおかげで自信ついた」




「俺のキスのおかげか?」



自分のおかげと分かって嬉しくなり、にっと笑っていつものようにからかい出した。



雅は肩をビクッとさせてさっき触れられた唇を指で擦る。



次第に顔が赤く火照り、胸の鼓動が早くなっていった。



「ち、違うから!?変なこと言わないで…!」
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