【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
水谷くんのその目はもう笑ってなかった。合宿の時に見たあの目と同じ。




終わった……。もう、怯えてこの場を過ごすしかないんだ。




とても怖い。





水谷の目に支配された雅は身体が思うように動かなくなって、話すことすら上手く出来なくなった。





また身体に震えが。声だって全然出せない。





落として拾ってくれたスマホを持つ力さえ入らない。





「小鳥遊さん寒いの?さっきから震えているけど」





状況がよく分かっていない人達はただ雅が寒くて震えていると思っている。





気を使った女子の一人がエアコンの暖房をつけだした。






水谷くんの顔は私にしか見えていない。





こんな顔の水谷くんを見たら皆だって私みたいに震えるに決まってる。
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