【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
「何かお礼しないとな」





「え?別にいいよ。ほらだって、今日はこんなに買って貰ったし。これ以上貰っても申し訳ないというか」




迷惑もかけたからその分、私が何かしなきゃいけないのに。




「何もお礼は“物"じゃなくたっていいだろ」




いつにも増してイタズラな笑みを浮かべると、強引に引き寄せる。




「…えっとそれって、んっ!」




目と鼻の先に顔が近づき、あっという間に雅の唇は稲葉に奪われてしまう。




物じゃないお礼って、このことか……。嬉しいけど、いつもよりなんか、深い。





まるで渉が私の唇を支配するかのように強く、押し当ててくるような感じだ。






抵抗すると思っているから手首掴んでいるのかな?






別に抵抗しないのに。





むしろ、もっとしてって言いたい。
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