【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
「やっと気がついたか?」





その声。





「稲葉くん?私……」





「熱中症だ。疲れも溜まってたからなりやすくなっていたって保健室の先生が言ってた」





「そうなんだ。今日暑かったもんね」






それで倒れて…稲葉くんが運んでくれたのかな?






まぁ、お礼くらいは言わないと。





「悪かった」






「え?どうして稲葉くんが謝るの?」






迷惑かけたのは私だし。一体どうして?





「俺がたくさんこき使ったのが原因で、疲れが溜まってお前をこんな目に…。本当にすまない」






ちゃんと反省してくれてたんだ。






再会してからこんなに真剣な稲葉くんの顔、練習以外で見たことなかったな。





「確かに稲葉くんは私をこき使いすぎ。けど、もういいよ。私をここまで運んでくれたんだから。ありがとう稲葉くん」






残っていた。





昔の彼と同じように優しいところが。





本当に優しい人じゃないとここまで運んだり、謝ったりしない。






「あのさ、これからもマネージャー続けてくれるか?」





「うん。ただし、稲葉くん専用じゃなくて皆のサポートしていくからそのつもりで」






「それは困るな」






「ちょっと、なんでよ!?」

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