【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
「ちっ。稲葉 渉だ。これでいいか?」




「えっ!?」



驚いた雅は手で口を覆う仕草をした。目は見開き、口角が上がるのを必死にこらえる。




ほ、ほんとに稲葉くんなの?






あの真面目で優しかった稲葉くん?!







「なんだよ!?言ってたんだからお前も名前言えよ!」






「は、はい...!えっと、小鳥遊、雅です...」






迫力負けしてつい、敬語が出てしまった。






すると稲葉は何かを思い出したのか目を丸くした。






「小鳥遊って、小学生の時に転校した?」






思い出してくれたんだ...!







「そうだよ稲葉くん。私、この町に帰ってきたんだ!」
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