【完】再会した初恋の彼はチャラくて、イジワルで、ときどき優しい
床に落ちるほどの汗をタオルで拭いて、水分補給をする稲葉。





その表情は疲れではなく、試合に勝って満足している顔だ。






「あぁ。今日の試合は入部してから最高にいい試合だった。レギュラーになったらこれ以上の試合が待っているかと思うと今からワクワクする…!」






子供みたいに次を楽しみにしている稲葉くんがこの日はちょっと可愛く見えた。





自信に満ちた稲葉の様子を見て花火絵はひとつのアドバイスを試合の最後に残す。





「お前の実力じゃまだまだレギュラーは無理じゃ。今日は実力を出せてもお主はまだ恐怖心がある。まずはそこを完全に克服することじゃな」






「恐怖心か…」





恐怖心は誰にでもあって乗り越えるのが難しいものだけど、今日の稲葉くんはそれに打ち勝つことができた。




「稲葉くんならそれをきっと乗り越えられるよ。私もサポートしていくから、これからも頑張っていこう!」




この先だってそれに打ち勝つことができるよ絶対。
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