公認ラヴァ〜それでも愛してる〜
その香りに気づいたのは


賢也は深夜だろうと必ずシャワーを浴びてからベッドに入ってきたので気付かなかったが、朝、洗濯カゴからこぼれたワイシャツが床に落ちて放置されていた。
何気なく拾い上げて洗濯機に入れようとしたら薔薇の強い香りがした。



男性用の香水では無い香り



会社の誰かから移ったんだろうかと思ったが、これほどの移り香はかなり近付かないとつかない気がした。

それから香りが気になり賢也が帰宅するとそっと近づいて匂いを確認してみたが、あの香りがすることがなかった。

ところが金曜日の深夜に帰って来た賢也がシャワーを浴びている時に、こっそりとワイシャツに手を掛けるとあの強い薔薇の香りが鼻についた。


賢也は金曜日の疑惑以外は優しくて結婚生活に何の支障もないし、側から見れば羨ましい仲良し夫婦に見えるらしい。現に私も賢也に大切にされている実感もあったし自分は幸せだと思っていた。

寝たふりをしている私に小さな声で「おやすみ」と言ってベッド入ってきた。

夜の営みはそれなりにある。
いつも賢也からそれとなく始まるが、そういえば金曜日は無いような気がする。
自分から誘うなんてしたことがないからどうすればいいのかわからないがそれでも、誘わずにはいられなかった。




不安を消して欲しいから
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