公認ラヴァ〜それでも愛してる〜
午前中は病院へ行く為、松崎に連絡をした。
そのあとは報告書を仕上げないといけない、やることは沢山ある。


明日の朝、残業せずに帰ってきてと言ったらどうするだろう。

断られたら?

その場で泣き崩れてみたらどうだろう、それでも“残業”が大切なら・・・

きっと私は

鬼になる







「すこしづつ様子を見ていきましょう。一応クスリも処方しておきます。症状が改善されなければまたかんがえましょう」

「一応診断書をいただいていいですか?」

「わかりました」

「ありがとうございます」

診察と言っても前のように胃カメラをするとかではなく、問診で終わりだ。



「おはようございます」
すっかり居心地の良くなった松崎探偵事務所に入ると松崎は接客中だった。

依頼主だろうか?さりげなくテーブルを見るとなにも出されていないため給湯室に行ってお茶をいれて持って行くと女性は目元をハンカチで押さえ肩が震えていた。

チラリと女性の前に置かれた報告書を見ると、浮気現場の証拠写真が添えられていた。

私もあんな感じだったんだろうか・・・

「これで調査を終了させていただきます」


「私はどうすればいいでしょう?」

「わたくしどもは調査をすることが仕事ですから、あとは弁護士などへご相談ください。必要でしたら、不倫問題を多く扱ってます弁護士を紹介することはできます」

うわあああああん
女性は急に泣き崩れたが松崎の態度は変ることはなかった。
あわてて私がその女性の元に行くと依頼人は私の胸の中で泣きながら
「別れたくないんです、別れたくない。主人を取り戻すにはどうすれば」
「おしえてください、ここにはそういう人が一杯来るでしょ、助けてください」

「それは、弁護士と相談してください。わたしは坂田様のお役に立てることはないです」
そう言うと松崎は報告書一式を封筒に仕舞い、弁護士のリストを一緒に添えた。

この女性がほっとけなくて泣き止むまで抱きしめていた。
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