公認ラヴァ〜それでも愛してる〜
テーブルを片付けながら
「なんだか意外です」

「何が?」


「私の時はもっと親身になってくれたというか、松崎さんの言葉で離婚するという決意をすることができたんです。でも、さっきの女性になんだか冷たい感じだったから」


「坂田さんは別れる意思はみじんも感じられないし、クライアントみんなにいちいち親身になっていたら仕事にならないでしょ」
「そもそも、有佳ちゃんは特別だから」そう言ってまたウィンクをする。

なんだか、ごまかされてる気がするが

「それより、書留で郵送しないといけないから書類のチェックをしよう。あと明日のためのミィーティングもしないと」

「はい、そうですね。書類を作りながら自分のことなのにどんどん他人事になっている感じなんです。はじめは二人の音声や写真を見るのが辛かったのに、なんか事務処理の一環になってきたんです」

「じゃあ、この仕事をはじめてよかったのかもね、ところで音声データといえば、フルの方は聞いた?」

「聞いてないです。だって・・・他人の情事を聞きたいなんて思わないですからこの先も聞かないと思います」

「そうか、じゃあさっさとやってしまおう」

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