あやかし戦記 奪われた愛の形
「よし!行こうぜ!」

もしもの時のための武器を構え、レオナードたちは声のした方へ走り出す。この作戦が無事に終わることを祈って……。

(イヅナ、絶対にあれを持って来いよ!)

(イヅナが来るまで、僕たちが命懸けで頑張らなきゃ!)

二人の頭の中には、優しくそして強い幼なじみの姿があった。



数十分前、イヅナとギルベルト、そしてチェルシーの三人は派手な印象を持ったムサシの屋敷の門を叩いていた。

「はい。……あら、あなたは!」

出てきた使用人は、イヅナたちにお茶とお菓子を持ってきてくれた使用人だった。イヅナはペコリと頭を下げ、「先日は大変失礼致しました」と謝罪する。

「今回こちらに伺ったのは、ムサシ様に許していただきたいと思っているからです。ですが、私ほどの人間がムサシ様に渡せるような宝は何も持っておりません。なので、私の友人に協力していただくことにしました」

イヅナが言い終わると、ギルベルトとチェルシーが前に出る。突然現れた西洋の人間に、使用人はとても驚いていた。
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