禁忌は解禁された
一颯は簡単に、先程の井田の怪我のことを話した。

「そっか。
まぁ、井田さんや若の言ってることわかるけど、姫からしたら悲しいよな?
だから、姫はそのままでいいんだよ!」
「え?」
「俺もまだ、わかってないことばっかだけど……
少しずつ、乗り越えて行こうよ!
な?」
「うん…」
微笑んで言った暁生に、一颯も微笑み返した。

「やっと、笑った!やっぱ、一颯には笑顔が一番合う!
そうやって、組員達を癒してってよ!姫!」
「うん!」


暁生と共に、颯天達の所へ戻る。
銀二が頭を下げてきた。
「姫、井田から聞きました。
申し訳ありませんでした!姫のお気持ちも考えずに……」
「いいの…!銀くん達が言うのも、わかってるから!
それが、この世界なんだし」

一颯も微笑み返すのだった。


「組長、姫。
夕食の準備が出来ましたよ!」
夕食をとる為、ダイニングに向かう颯天と一颯。

二人分の夕食が、並んでいる。
颯天と一颯が席に座る。
「ねぇ、颯天」
「ん?」
「みんなでご飯食べない?」
「は?みんなでって、どのみんな?」
「みんなはみんな」
「こいつ等ってこと?」
「うん」
「俺は別に構わねぇよ」

「じゃあ……銀くん達も!!」

「姫、ダメですよ!」
銀二が頭を横に振る。
「え?」
「滅相もありません!」

「………」
「……フッ…!」
井田が思わず、吹き出す。
「フフフ……」
一颯もクスクス笑い出した。

「え?姫?どうして、笑うんですか?
井田も!何だ?」

「あ、いや…すみません…!フフフ…」
「フフ…ね?井田くん、私似てるでしょ?」
「そうですか?(笑)」

「何の話?」
颯天が一颯の顔を覗き込む。

「ううん。内緒!」
「なんだよ、井田!」
「いえ…俺の口からは……」

「は?二人、キモいぞ!」

「何の話かわかりませんが、お二人と同じ食卓は囲めません」
銀二がきっぱり言い切った。


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「颯天」
「んー?」
入浴中の颯天と一颯。
後ろから一颯を抱き締めている。

「どこ触ってんの!?」
「腹」
「ちょっと、やだ!」
「じゃあ、太ももは?一颯の肌って気持ちいいよな~」
「ダメ!!もう、離して!隣に座るから」
「えーー!やだー!もう、変なとこ触らないから、このまま!」
「もう…」

「明日、久しぶりにデートだね!」
「うん、そうだな。
………って言っても、デートらしいデートしたことないけどな!」
「そうだね。なんか、あっという間だったもんね。
颯天が成人して、半年でお父さんが亡くなって。
颯天が組を背負って……」

「まぁ……正確には、組を背負ってんのは銀二だけどな!」
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