禁忌は解禁された
「なんかそれ、ズルい…」
「なんで?」
「私だって、颯天といられれば何処でも…////」
「うん…」
「なんか私達って……ずっと傍にいたのに、離れてたみたいな感じでしょ?」
「ん?」
「苦しいくらい好きなのに、なかなか伝えられなくて……でも、放れられない……」
「うん、そうだね…!」
颯天の顔が、ゆっくり近づいてくる。

「ちょっ…////颯天!?」
キスされそうで、慌てて押し返す一颯。

「ん?何?何で押し返すの?」
「だ、だって…////くっつくよ…口唇////」
「うん、くっつけようとしてるの、口唇」
「ここではダメ////」
「なんで?」
「銀くん、いるんだよ……?」
「うん、問題ないよ」
「問題あるよ…!恥ずかし…/////」

「一颯って、ほんっと…可愛いね……!」
口唇が重なる寸前の二人。

「え?」
「可愛くないときがないから、困るんだよなぁ~」
「は?」
「俺、毎日気が気じゃないんだよ、これでも!」
「え?」

「井田ってさ!俺に内緒で、一颯を外に出すだろ?」

「え……」
(ば、バレてる……?)

「あ、もしかして!俺にバレてないと思ってた?」
「な、何が?」
「よくダチと会ってるじゃん!一颯。
この前は暁生に会いに行ってたし」
「知ってたの?」
「うん、全部!お見通し!」
「なん…で…お見通しなの?」
「内緒!
とにかく!一颯は、俺に隠し事なんかできないんだよ」

「嘘……」
一颯は信じられない思いで颯天を見る。

「まぁ……その点銀二は、許さねぇもんなぁー」

「え?」
「銀二なら、内緒で一颯を外に出すなんてしない。
………………銀二は真面目だから」
一颯は運転席の銀二を見た。

確かにそうだ。
銀二は、いつも真っ直ぐなのだ。
絶対に曲がらない。
忠実に颯天の言うことを聞き入れ、完璧にフォローし、颯天に決して逆らわない。

それは颯太に対してもそうだった。
だから颯太の信頼を一心に受けていて、学生の頃の一颯の護衛をつとめていた。
一颯が成人してからも、重要な時は井田に代わり銀二が護衛にかり出されてた程だ。

「そうだね」
「銀二を一颯の護衛にして、井田を俺につけようかな」
「え!?」
「何?ダメ?」
「あ、いや、ダメじゃないけど……
ほ、ほら!銀くんは颯天をフォローしないと……!」

一颯は動揺し、必死に説得する。

銀二は融通が利かないところがある。
それこそ内緒で出かけるなんて、銀二には通用しない。
銀二なら、何処に行くにも必ず颯天の許可を得なければ外に出してくれないだろう。

そうゆう意味で一颯は、銀二が苦手なのだ。

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