禁忌は解禁された
そして合コン?当日━━━━━━━━
「一颯」
「ん?」
「聞いてなかったんだけどさ」
「うん」
「今日の食事って“いつもの”メンバーだよな?」
「え?う、うん。そうだよ!」
「………」
「な、何?」
「…………ふーん。わかった」
一颯は“ヤバい…バレてる?”と不安になるが、今更本当のことを言えるわけがない。
「じゃあ…行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい」
井田と一緒に出ていく一颯の背中に、颯天は呼びかけるように言った。
「一颯!俺を…神龍組をなめないでね!」
一颯は振り返ることなく、出ていったのだった。
「いいんですか?」
一颯の乗った車が去っていくのを見つめていた颯天に、銀二が声をかけた。
「あ?」
「姫を行かせて」
「何が?」
「明らかに、何か隠してますよ?姫。
組長もわかってますよね?
“いつもの”メンバーじゃないこと」
「うん。銀二はどう思う?」
「え?」
「女のダチだけど、いつものダチじゃない。
いつものダチとの食事だけど、男もいる。
男と会ってる。
どれ?」
颯天が一本ずつ指を立てながら、銀二に言った。
「あとの二つのどちらかかと………」
「だよなぁー」
「どちらにしても、男がいると思います。
でも………」
「でも?」
「姫の性格です。
自主的に男がいるところに行ってるとは思えません。
何か、ちゃんとした理由があるんじゃないでしょうか?」
「そうだな」
「とりあえず、調べますね。
何処で、誰と、会っているのか。
井田にも、絶対姫から目を離すなとは伝えてます」
「うん、頼む」
一方の、一颯━━━━━━━━━━━
「姫」
「ん?」
「やっぱり、帰りましょう」
「え?」
「確実に、姫が何かを隠してるのバレバレですよ?
本当に、志乃さん達との食事なんですか?」
「本当よ」
「言っておきますが、俺は姫から離れませんよ」
「わかってるよ」
待ち合わせ場所に着いた、一颯。
いつもなら井田が後部座席のドアを開けるのだが、今回はその前に一颯が自分で開けて外に出た。
「姫!!?」
「井田くん、ごめんね!!」
「は?」
一颯は突然走りだし、近くにいたタクシーに乗り込んだ。
「◯◯駅まで急いでください!!」
「はい?」
「お願い!!急いで!!」
「は、はい!!」
タクシーの運転手に言い放ったのだった。
一颯は手が震えていた。
こんな風に、井田を出し抜くなんて初めてのことだから。
(でもなんで…こんなことをしなきゃいけないんだろう……)
一颯は、涙が頬を伝っていた。
「一颯」
「ん?」
「聞いてなかったんだけどさ」
「うん」
「今日の食事って“いつもの”メンバーだよな?」
「え?う、うん。そうだよ!」
「………」
「な、何?」
「…………ふーん。わかった」
一颯は“ヤバい…バレてる?”と不安になるが、今更本当のことを言えるわけがない。
「じゃあ…行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい」
井田と一緒に出ていく一颯の背中に、颯天は呼びかけるように言った。
「一颯!俺を…神龍組をなめないでね!」
一颯は振り返ることなく、出ていったのだった。
「いいんですか?」
一颯の乗った車が去っていくのを見つめていた颯天に、銀二が声をかけた。
「あ?」
「姫を行かせて」
「何が?」
「明らかに、何か隠してますよ?姫。
組長もわかってますよね?
“いつもの”メンバーじゃないこと」
「うん。銀二はどう思う?」
「え?」
「女のダチだけど、いつものダチじゃない。
いつものダチとの食事だけど、男もいる。
男と会ってる。
どれ?」
颯天が一本ずつ指を立てながら、銀二に言った。
「あとの二つのどちらかかと………」
「だよなぁー」
「どちらにしても、男がいると思います。
でも………」
「でも?」
「姫の性格です。
自主的に男がいるところに行ってるとは思えません。
何か、ちゃんとした理由があるんじゃないでしょうか?」
「そうだな」
「とりあえず、調べますね。
何処で、誰と、会っているのか。
井田にも、絶対姫から目を離すなとは伝えてます」
「うん、頼む」
一方の、一颯━━━━━━━━━━━
「姫」
「ん?」
「やっぱり、帰りましょう」
「え?」
「確実に、姫が何かを隠してるのバレバレですよ?
本当に、志乃さん達との食事なんですか?」
「本当よ」
「言っておきますが、俺は姫から離れませんよ」
「わかってるよ」
待ち合わせ場所に着いた、一颯。
いつもなら井田が後部座席のドアを開けるのだが、今回はその前に一颯が自分で開けて外に出た。
「姫!!?」
「井田くん、ごめんね!!」
「は?」
一颯は突然走りだし、近くにいたタクシーに乗り込んだ。
「◯◯駅まで急いでください!!」
「はい?」
「お願い!!急いで!!」
「は、はい!!」
タクシーの運転手に言い放ったのだった。
一颯は手が震えていた。
こんな風に、井田を出し抜くなんて初めてのことだから。
(でもなんで…こんなことをしなきゃいけないんだろう……)
一颯は、涙が頬を伝っていた。