禁忌は解禁された
「は?暁生!一緒はダメだ!」

「いいじゃん、銀二。
入れてよ!腹減った」
「………わかりました」
渋々了承する、銀二。

「何か簡単に作りましょうか?」
井田が颯天に声をかける。

「ううん。このつまみ、ちょうだい!」
煙草を咥えながら言った、颯天。
すかさず銀二が火をつけた。

「姫は?」
「寝てる」
「フフ…」
「なんだよ!?」
「姫も大変だなぁと思って……」
「何が?」
「組長、怒らないで聞いてくださいね!」
「あ?」

「姫って、魔性だと思いません?」

「は?」
「姫を見てると、柔らかそうで、甘そうで吸い付いてみたくなりません?
あの柔らかい口唇とか、一度重なったら離せない。
身体とか、もっとヤバい……!」

「…………確かに!」

「若や井田さんも思わないですか?」
「は?」
「姫に触れたいって」

「なっ…/////」
「触れたいよ」
顔を赤くする銀二と、普通に本音を言う井田。

「フフ…若は、真面目だなぁ~!」
「暁生が、緩すぎるんだよ!?」

「やっぱ、好きなんだ!お前等」
颯天が銀二と井田を見る。

「組長、あの!」
「いいよ、正直に言って。
人を好きになるのを、俺は止められない。
だからって、絶対渡さねぇけどな!」

「俺は好きですよ!」
井田が颯天を真っ直ぐ見ていった。
「そう」
「大切な女です。誰よりも……!
もちろん、奪おうとか思ってません。
それは、姫を傷つけるだけだから」

「…………私も」
「ん?銀二?」
「大切です…姫のこと……
姫が私に、生きる力をくれる。
あの方の為なら、何でもします!」
銀二も颯天を見据え言った。

「絶対!渡さねぇよ!!
俺の本当の親父は、母さんを親父にあげたらしいけど、俺はそんなことしない!」
颯天も銀二を見据える。

「もちろん、わかってますよ」
銀二がフッと笑う。


「ほんっと、罪な女………!!」
三人の会話を聞きながら、暁生が呟いたのだった。


その頃の一颯━━━━━━━
「んんっ…颯天…?」
ゆっくり起き上がる。

「今何時?」
スマホを確認すると、23:19と表示されていた。
不在着信が入っていて、確認すると…………

「え……なるくん?」

冷泉(れいせん) 徳仁(なるひと)

懐かしい名前が表示されていた。

留守電を聞く。
『いぶちゃん?久しぶり。
先週、こっちに帰ってきたんだ。
会えないかな?』

昔と変わらない…穏やかで落ち着いた優しい声が、一颯の耳に響いていた。
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