禁忌は解禁された
「一颯ー」
「志乃!」
本当の待ち合わせ場所に着き、志乃達の元に駆けていく一颯。

「一颯?どうしたの?」
実子が一颯の顔を覗き込む。
「私……」
まだ、震えが止まらない一颯。
「一颯…」
可奈が一颯の頭を撫でる。

「ごめんね、一颯にこんなことさせて……」
「私達のせいにしていいからね!」
「私達、颯天くんに怒られる覚悟、できてるから!」


その頃の井田━━━━━━━━

ダン!!!と銀二に車のボディーに押しつけらる、井田。
「井田!!!姫から目を離すなっつったよなぁ!!?」
「す、すんません!!
まさか、姫があんな大胆なことをするなんて思わなくて……」

案の定、颯天と銀二の怒りを買っていた。

「で!?一颯は何処行ったんだよ!!?」
「あ、それは!」
井田がスマホを颯天と銀二に見せた。

「とにかく、行きましょう!組長!」
「あぁ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
高森(たかもり)くん!」
「遅いよぉ~」

「ごめんね!お待たせ!」
一颯達がレストランに着くと、男達は既に席に座っていた。

「初めまして!神龍寺 一颯です!」
一颯が微笑み挨拶すると、顔を赤くした男達が一瞬でフリーズし固まった。
「あ、あの……」
返事をしない男達を見て、一颯が不安になる。

「あ、ごめんね!
俺は、志乃ちゃんの同僚で高森って言います!
よろしくね!で、こいつ等が━━━━━━━」

楽しく会話が弾む。

「あ、もうそろそろ……一颯、帰らなきゃ!!」
「え?」
「ほら、颯天くん。きっと待ってるよ!
あとはいいから……」
志乃がウインクして、耳打ちした。

「えー!!一颯ちゃん、帰るの~?」
「最初から、少しだけって約束でしょ!?」
「わかったよ!
じゃあ、駅まで送る!行こ?一颯ちゃん」
高森が、一颯に手を差し出した。

その行為に、咄嗟に高森の手を掴んだ一颯。
「一颯ちゃん、手小さっ!!」
「あ!ご、ごめんなさい!!つい、いつものクセで握っちゃって」
慌てて、手を引っ込めようとする。

しかし高森は更に手を握る。
「ほんと、お嬢様なんだねー」
「え?」
「だって“いつものクセで”差し出された手を握るなんて、あんまないじゃん!」
「そ、そうだよね……」

「行こ?じゃあ、俺、一颯ちゃんを駅まで送ってくる」
そのまま一颯の手を引き、レストランを出ていく。


「あれは、マジだな!」
「珍しいよな、高森があんなに積極的なんて……!」
「一颯ちゃん、人妻なのにな」

「そんな、珍しいの?」
志乃が問いかける。

「だって高森って昔からモテてたから、何もしなくても女なんて寄ってくるもん!だから彼氏持ちとかましてや、人妻になんて……手ぇ出す必要ねぇし」
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