禁忌は解禁された
「一颯、俺、着替えて行きたいんだけど……」
「うん」
「一颯もついてきて」
「うん」

部屋に戻り、颯天がスーツを脱ぎ着替える颯天。
「颯天」
「ん?」
「そんな格好で行くの?」
「うん。あ!一颯も着替えて!」
「え?」
「そんな可愛い格好で行っちゃダメ!!
俺が今着てる、このお揃のパーカーあったじゃん!
それ着て!!」
「パーカーは着るから、颯天ももう少しちゃんとして!
それ……ヤンキーみたい……」
「いいじゃん!お洒落する必要なし!」
「颯天!!」

「…………わかった」


そして待ち合わせ場所へ急ぐ。
「なるくん!」
キョロキョロして待っていた、徳仁がいた。

「━━━━━━━いぶちゃん?」
「うん!久しぶり!」
「久しぶり……!相変わらず、綺麗だね……」
「フフ…ありがとう!」
しばらく見つめ合う一颯と徳仁。

「ねぇ!!」
そこに颯天が二人の間に立ち、徳仁を見据えた。

「あ、ごめんね。えーと…君が……」
「だ、ん、な!
初めまして、神龍寺 颯天でーす!
一颯の“友達”さん!」

「神龍寺?
…………え?え?颯天って……弟くんじゃ……?」

「あ、そうなの。話すと長くなるんだけど……」
颯天の背中の後ろから顔を出し、言った一颯。

「とりあえず、早く飯食おうぜ!」
「あ、そうだね!
なるくんは、何が好き?」
「僕は、何でも大丈夫だよ!」
「うーん。じゃあ…この近くに颯天のお友達の居酒屋さんがあって、この裏にピザが美味しいイタ飯屋さんがあるよ!それか、少し歩くけど銀くんの焼肉屋さんも美味しいよ!どれがいい?」

「あ、えーと…いぶちゃんが食べたいもので!」
「私?私は、なるくんに決めてもらいたいな。
どうしよう…颯天は?何がいい?」
「居酒屋」
「そうする?なるくん、居酒屋さんでいい?」
「もちろん!」
「じゃあ、行こ!」

数分で居酒屋に着き、中に入る。
「いらっしゃいませー!
あ、颯天じゃん!
あ!お姉さんだ////」
「辰之くん、こんばんは!」
「こんばんは!久しぶりっす////!ヤバッ…可愛い/////」

「おい!辰之(たつゆき)!もう、姉ちゃんじゃねぇっつったろ!?
それよりも!三人!あいてる?」
「今、いっぱいでさぁー」
「だよな。金曜だしな」
「半個室でもいい?
だったら、一つあいてるよ」
「半個室か…」
「颯天、そこにしよ?」
「でも半個室は、他の客が一颯を見るじゃん!」
「は?見ないよ、誰も」
「一颯は可愛いから、注目浴びるの!!」

「………」
「なんだよ」
「颯天の方がカッコいいよ」
「違うよ、一颯が可愛すぎんの!!」
「確かに、いぶちゃんは可愛い!」
「なるくんまで…/////」
「お前、いぶちゃん言うな!」
「でも、高校の時はそう呼んでたんだよ!」
「だからぁ!」

「てか!颯天、どうすんの!?
入口にいられたら、邪魔なんだけど?」
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