禁忌は解禁された
「一颯…ごめんね……
消毒、させて?」
ゆっくり、一颯の口唇に重ねた。

気持ちいい━━━━━
こんなにも違うものなのか。

ヤバい……離せない、離したくない。

「んんっ…!!」
一颯が息苦しさから、もがきだす。
押し返そうとする一颯の手を掴み、ベッドに縫いつけ組み敷いた。

「はぁはぁ…颯…天…?」
「一颯…ただいま」
「あ……颯天…」
一颯の目が潤み出す。

「ん?一颯?」
「颯天…」
「ん?」
「寂し…かったよ…」
「うん…ごめんね…もう、一人にしないよ」
そう言って、口唇を重ねた。

「ん…や……颯天…」
颯天の口唇が、首や鎖骨に落ちてくる。

「一颯…身体、熱っ…」
「颯天…今日…は……」
「うん…わかってる……でも、もう少しだけ…」

一颯のほてった身体、身体中にあるキスマーク。
それが、あまりにも妖艶で颯天の欲を煽る。

「颯天?」
「一颯…」
「ん?」
颯天の表情が、あまりにも切ない。

一颯はゆっくり起き上がった。
そして颯天の頭を撫でた。

「同窓会、楽しくなかったの?」
「ううん」
「でも、悲しそう…」
「一颯がいないから、寂しかった」
「うん」
「もう…放れたくない」
「颯天?」

「もう…放れないから!」


一方の銀二と井田━━━━━━━━━

「若、さっきのこと……」
「抑えられなかった…」

「一生……俺の心に留めておきます」

「え?」
「若も、絶対に!組長や姫に言わないでください!!」
「井田…」
「若の性格なら、組長や姫に告白して謝罪するでしょ?」
「………」
「でも、絶対にやめてください!!
姫はまだしも、組長が知ったら…………
わかりますよね?」

「俺は確実に、組長に殺されるな……」

「正直……神龍組は若がいないと、成り立ちません。
まだ組長には、完全に一人で背負うには若すぎる。
それは、結果的に姫を苦しませることになる。
それだけは、避けていただきたい」
井田が銀二を見据える。

「あぁ、わかってる。もう二度としないから、安心しろ」

「でも、苦しいですよね……」
「だな…
…………………嫌いになれたら……」
「え?」

「どんなに楽だろうって、よく考えてる」

「若……」

「でも、なれない。
好きでいたい。苦しくても、切なくても、一生…傍にいたい……!」

「はい。俺もです!
………………きっと…暁生も」
「だな。きっと……禁忌を犯そうとした組長もその気持ちがわかるから、俺達を受け入れてくれてる」

「はい」

二人は空を見上げながら、一颯への思いを募らせていた。
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