禁忌は解禁された
颯天の元カノ
「あれ?道…加…さん?」
「え?あ…颯天の、お姉さん?」
井田と買い物中、一颯は道加を見かけ声をかけていた。
「姫、こちらは?」
「颯天の…その…元カノさん…」
「あ、貴女が…」
「こんにちは」
「こんにちは…あ、聞きました。颯天とご結婚されたって……」
「え?あ、はい」
「どうして、颯天と結婚したんですか?」
「それは━━━━━」
「……………弟と結婚なんて、気持ち悪い……」
道加が、軽蔑するように見る。
「え……あ…そ、そうですよね……」
道加から目をそらす、一颯。
「ちょっ…てめぇ、姫に何を…!!?」
井田が、道加に殴りかかろうとする。
「あ、真紘くん!ダメだよ!!
………じゃ、じゃあ道加さん、行きますね」
井田を引っ張り、去っていく一颯だった。
「あの女……!!!」
「真紘くん!」
「しかし!あんな、言い方!!」
「真紘くんも、正直そう思うでしょ?
いくら血が繋がってないからって、ついこの前まで姉弟として過ごしてたんだから」
「若や…暁生も言ってたじゃないですか。
組長と姫は“最初から”男と女だったって!」
「でも、やっぱり…他人から見たら、気持ち悪いよ……」
一颯は、左手の薬指に光る指輪を見ながら呟いた。
「姫……」
「今日のこと、二人だけの秘密ね」
屋敷に帰り着き、部屋前で言った一颯。
「え?でも…」
「道加さんに会ったことも、言われた言葉も。
私と真紘くんの秘密!お願い!」
「……………はい、わかりました」
「あと、しばらく一人にして?」
そう言って、襖を閉めた一颯だった。
閉められた襖を見つめ、井田は拳を握りしめた。
「くそっ……!!あんな表情させたくないのに…」
『姉ちゃん、こいつ、彼女!』
颯天が高校生の時、屋敷に道加を連れてきて紹介してくれた。
あの頃、颯天が成人したら真実を告げ、告白して表の世界で生きていきたいと思っていた一颯。
その一颯にとって、かなりショックの出来事だった。
幸い、その後すぐに別れたと聞き安堵したのを覚えている。
“弟となんて、気持ち悪い”
「気持ち悪いか……
高森くんにも“どうかしてる”って言われたしな……まぁ、普通…そう思うよなぁ……」
その頃、井田は…………
「今からちょっと出てくる。姫を頼む」
組員に声をかけ、屋敷を出ていったのだった。
「え?あ…颯天の、お姉さん?」
井田と買い物中、一颯は道加を見かけ声をかけていた。
「姫、こちらは?」
「颯天の…その…元カノさん…」
「あ、貴女が…」
「こんにちは」
「こんにちは…あ、聞きました。颯天とご結婚されたって……」
「え?あ、はい」
「どうして、颯天と結婚したんですか?」
「それは━━━━━」
「……………弟と結婚なんて、気持ち悪い……」
道加が、軽蔑するように見る。
「え……あ…そ、そうですよね……」
道加から目をそらす、一颯。
「ちょっ…てめぇ、姫に何を…!!?」
井田が、道加に殴りかかろうとする。
「あ、真紘くん!ダメだよ!!
………じゃ、じゃあ道加さん、行きますね」
井田を引っ張り、去っていく一颯だった。
「あの女……!!!」
「真紘くん!」
「しかし!あんな、言い方!!」
「真紘くんも、正直そう思うでしょ?
いくら血が繋がってないからって、ついこの前まで姉弟として過ごしてたんだから」
「若や…暁生も言ってたじゃないですか。
組長と姫は“最初から”男と女だったって!」
「でも、やっぱり…他人から見たら、気持ち悪いよ……」
一颯は、左手の薬指に光る指輪を見ながら呟いた。
「姫……」
「今日のこと、二人だけの秘密ね」
屋敷に帰り着き、部屋前で言った一颯。
「え?でも…」
「道加さんに会ったことも、言われた言葉も。
私と真紘くんの秘密!お願い!」
「……………はい、わかりました」
「あと、しばらく一人にして?」
そう言って、襖を閉めた一颯だった。
閉められた襖を見つめ、井田は拳を握りしめた。
「くそっ……!!あんな表情させたくないのに…」
『姉ちゃん、こいつ、彼女!』
颯天が高校生の時、屋敷に道加を連れてきて紹介してくれた。
あの頃、颯天が成人したら真実を告げ、告白して表の世界で生きていきたいと思っていた一颯。
その一颯にとって、かなりショックの出来事だった。
幸い、その後すぐに別れたと聞き安堵したのを覚えている。
“弟となんて、気持ち悪い”
「気持ち悪いか……
高森くんにも“どうかしてる”って言われたしな……まぁ、普通…そう思うよなぁ……」
その頃、井田は…………
「今からちょっと出てくる。姫を頼む」
組員に声をかけ、屋敷を出ていったのだった。