禁忌は解禁された
ナンパ男はかなりの強面で、どう見ても同業者だ。
周りも、見て見ぬふりしている。

しかし井田なら、すぐに助けられるだろう。
でも、相手は道加だ。

どうなろうと、知ったこっちゃない。


無視して、足を進める。

「………」
「誰か、助けて!」
「………」
「誰か…!!」

「………あーもー!」

井田は道加の方へ戻り、ナンパ男の手を掴んだ。

「嫌がってんだろ?やめろよ」

「あ?なんだ、てめぇ……」
「ウザいんだよ、やめろよ」
ナンパ男を睨み付ける、井田。

「あ…あ…お前っ…!!?
神龍の……!!!?」
途端に怯え出す、男。

「消えろ」

「す、すんませんでした!!」
男達が去っていく。

井田は、そんな男達を見送って道加に言った。
「じゃあ、俺も行くから」

「あ、あの!」
「あ?」
「ありがとうございました!」
頭を下げる、道加。

「姫なら……助けてあげてって言うと思ったから助けただけ。そうじゃなかったら、助けない。
お前のような奴……」
無表情で言い、去ったのだった。


「━━━━━え?私に!?」
「はい!買い物ついでに……」

「真紘くん、ありがとう!!」
屋敷に帰り着いてすぐ、一颯の部屋に向かいプレゼントした井田。
一颯の満面の笑みを見て“やっぱ、プレゼントして良かった”と心の底から安堵していた。

「早速、飲もっと!!
真紘くんも、一緒に飲も?
……あ、銀くんには内緒で(笑)」
「フフ…はい!」

「━━━━━真紘くん」
「はい」
「ありがとう!」
「はい」
「気を遣ってくれたんだよね?
私が、落ち込んでたから」

「あ、いえ…ついでですよ!」

「フフ…嘘つくの下手だね(笑)」

「え?」
「ほんっと、ここの男性達は、嘘が下手な人ばっか(笑)お父さんも、颯天も、銀くんも、真紘くんも……あ、でも暁生くんはホストしてたからかな?そうゆうの上手だけど!
でも、みーんな…優しくて、こんな弱い私を守ってくれる。ありがとう!」

「…………それは、俺のセリフだよ……」

「え?何?」
「あ、いえ……」
「真紘くん?」
井田の顔を覗き込む。

「ちょっ…/////姫////」

「姫!失礼します!!」
そこに、襖越しに組員が声をかけてきた。

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