禁忌は解禁された
夜が明けて、颯天と一颯がダイニングに入ってくる。

「おはよう」
「はよー」

「おはようございます、組長、姫」
「おはようございます、組長、姫」

銀二や暁生、町野達組員が挨拶をする。

「真紘くんは?」
「もう、来ますよ」

「おはようございます、組長、姫!」
「あ、真紘くん!」
タタタッと井田に駆け寄る、一颯。

「姫、ありがとうございました!ハーブティ、美味しくいただきました。
…………あと、手紙も…!」
「うん、良かった!」

そう言って微笑んだ、一颯。

━━━━━━━━!!!!?

「え━━━━ひ、姫━━━!!?」

「ちょっ…一颯!!!?何やって……!!!?」
「姫!!!?井田から、離れてください!!!」
「あーー!!いいなぁー!!
姫、俺にも抱き締めさせてーーー!!」

颯天、銀二、暁生が声を荒らげ、町野達も固まるダイニング内。

一颯は、井田を抱き締めていた。

「真紘くん」
「は、はい!」
「真紘くんも、ギュッてして?」

井田が震える手で、抱き締め返す。
一颯を壊さないように、優しく。

「フフ…
はい!次、銀くんね!」
そう言うと銀二の元へ行き、同じように抱き締めた。

「銀くんも、ギュッてして?」
「しかし!」
「いいから!!命令よ!!」

銀二も、井田と同じように腫れ物を扱うように震えながら抱き締め返した。

「姫ーー!俺はぁーー!」
「うん!次、暁生くん!」
「はぁ…久しぶりの、一颯だぁーー!!」

「はい!次は、町野くん!」
「え?え?俺もっすか!?」

「次は、百田くんね!」
「………柔らけぇ…」

一颯は、颯天以外の組員達を抱き締め合った。


「一颯!!
これ、何?俺に対する拷問?」

「最後は、颯天ね!」
颯天に抱きついた、一颯。
颯天を見上げた。

「なんか、こいつ等の匂いがすんだけど!?」

「颯天は、特別だよ!」

「は?」

一颯は颯天の口唇を指でなぞる。
そしてキスをした。

チュッとリップ音がして、離れた一颯。
みんなに向き直った。
「…………颯天、みんなにも。
お願いがあるの……!」



颯天「━━━━━━え?今、何っつった?」
銀二「姫、私も、空耳でしょうか。
すみません、もう一度言ってもらえますか?」
暁生「いぶ…あ、違う!姫、何言ってんの!?」
井田「姫、そんな冗談……というより、冗談でも聞きたくありません!」

町野「どうしてそんな、急に……!」


百田「俺達の仕事を、知りたいなんて……!」


ダイニング内が、騒然としている。

「私、もう…逃げたくない!!」
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