禁忌は解禁された
一颯の妊娠
颯天は仕事以外は、決して一颯から離れなかった。

食事も一颯と一緒に病室で食べ、どんなに遅くなっても一颯の病室に帰り、一颯の寝顔を見て隣の簡易ベッドで眠る。

そして仕事中は、井田と暁生が交代で一颯を護衛していた。


「━━━━じゃあ、一颯。行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい!颯天、銀くん、町野くん、百田くん」

「「「行ってきます、姫」」」

「暁生、頼む」
「はい!」


病室に、志乃達が見舞いにきた。

「一颯!」
「あ、志乃!実子、可奈も!宮原くんや伊敷くんまで、ありがとう!」

「もう!!心配するでしょ!?」
「そうよ!刺されたなんて、聞いて心臓止まるかと思ったんだから!」
「………一颯、良かった…」

「ごめんね、心配かけて…ありがとう!」

「一颯ちゃん、大丈夫なの?」
「うん!急所は外れてたから!」
「思ったより、元気そうで良かった!」
「うん!食事があんまり、とれないけど大丈夫だよ!」

「食事?」
一颯の言葉に、志乃が首をかしげた。

「うん、なんだか食欲なくて…」
「だから、病院食が不味いんだよ!」
「暁生くん!またそんなこと言うんだから!」

「………ねぇ、一颯」
「ん?」
「もしかして……」
「まさか…!」
「え?何?三人共」

志乃、実子、可奈が、一颯を見つめる。

「ねぇ!男三人は、出ててくんない?10分位でいいから!」

「は!?一颯を置いて出れるか、バカ!!」
暁生が声を荒らげる。

「……暁生くん、なんかあれば呼ぶから」
一颯が暁生に微笑む。

「………わかった」
暁生が宮原と伊敷を連れ、病室を出た。


「志乃、それでどうしたの?」

「一颯、最近生理いつあった?」
「え?
えーとね……ん?あれ?」

「一颯、ここで検査してもらいな」

「え?え?じゃあ……颯天…の?」
一颯が自身の腹をさすった。


一颯は後日、病院内の産婦人科に受診した。

「真紘くん、どっちの結果でもまだ誰にも言わないでね!」
「はい!ここで、待ってます」

診察室に入る、一颯。

「妊娠9週目に入ってますよ!
おめでとうございます!」
「嘘……!!!?
ありがとうございます!」

「まだまだ、大切な時です。
お身体、大切にしてくださいね!」
「はい!」


診察室を出ると、井田が立って待っていた。

つい、一颯は井田に抱きつく。
「え………!!?ひ、姫!!?」

「9週目だって!」
「え!!?じゃ、じゃあ…!!!?」

一颯が大きく頷く。

「す、すげー!!!姫!!おめでとうございます!!」

井田も今までになく、満面の笑みで喜んだ。
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