禁忌は解禁された
「舘市おじ」

「あ?」

「見え透いた嘘はやめろ……!!」

颯天が舘市を見据え、鋭く睨み付けた。

「は?」
「銀二」
「はい。
舘市、本当の事を言え」

「あ?」
「組長は、察している」

「だったらなんで、俺と一颯を殺そうとした?」

「………」
「本当に、親父の意向なら命を狙う必要ないだろ!?」

「………やっぱ、バレバレか(笑)
━━━━神矢 天馬。
私のこの世で一番嫌いな男」

「は?」

「お前の父親はな。
律子を守れなかった。
更に織枝まで守れず、殺した。
颯天、私はな。
今さら信じられないだろうが、颯天と一颯を自分の子どものように思っていた。
お前は血の繋がりがなくても、俺が尊敬する颯太に似ていたから。
一颯は、律子にそっくりだからなぁ。
でもあの時……
知衛に会いに行ったあの時、お前から神矢を感じた。
当たり前の事なのに、びっくりしたよ。
やはり、お前は……神矢 颯天なんだと。
これでも、ずっと言い聞かせたんだ。
確かに神矢の息子でも、天馬と颯天は違うって。
でも、日に日に颯天と天馬が重なるんだ。
天馬さえいなければ、律子と織枝は……」

「舘市おじ…」
「舘市、でもどうして、天馬さんが嫌いなんだ?」

「律子はみんなの憧れで、俺が護衛をしていたんだ。
…………正直、惚れていた。
そして織枝は、俺が妹のように可愛がってた女だ。
天馬はとにかく恐ろしい男で、律子をいつも傷つけていた。
キレると自分自身が抑えられなくて、その度に律子は泣いていた。
結果的に律子が耐えられなくなって颯太と結婚して安心してたのに、今度は織枝だ!
しかも、子どもまで……
しかも!!織枝と一緒に死にやがった。
許せるわけないだろ!?」

「だから、俺に死ねっつうの?」

「あぁ…お前はきっと、一颯と腹の子を不幸にする。天馬と同じように………!!」


「私では無理ですよ。神龍を支えること。
舘市だって、わかってるはずだ!
それに、何故、姫を狙った?」
銀二が鋭く睨み付ける。

「…………律子を見てるようで、辛いんだ。
一颯が颯天と一緒の所を見ると、苦しい……
天馬と律子を見てるようで……
━━━━だから、憎い……
二人が……!!」

舘市が苦しそうに顔を歪め、項垂れた


「おじ様、もう…やめてください!!」

井田と暁生、町野達組員を控えさせた一颯が立っていた。
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