臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
思ったより早い来訪だったけど,麻冬ちゃんにと元々買っておいたチョコレートを机に出す。

あったかいカフェオレも添えて。



「ありがとうございます…みお,さん?」

「うん。桜木 澪。よろしくね。敬語なんて要らないから」

「うん。分かった」



素直にお礼を言って,受けとる麻冬ちゃん。

そして,時折不機嫌にも見えるような顔の持ち主,菖は



「ブラック…」



なんてまたいらない事を言う。

その言葉に大袈裟に反応してしまった私は,また1人でおろおろ。

そんな私を澪がじっと見ていて,また泣きそうになった。

そんなことを言える立場に無いにも関わらず



『お願いだからもう何も言わないで』



と叫び,過去を匂わす一切を拒否する身勝手な心。
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