臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。




「澪? 出掛けるの?」

「あぁ,コンビニ行ってくる。ちょっと時間かかるかもだけど,あいつらが来るまでには帰ってくるから」



安心してと言わんばかりに,幻覚かと思う程の一瞬,澪は優しく微笑んだ。

顔が赤く染まり固まる私に,澪は気付きもせず,そのまま出掛けていく。



「……シャワーでも,浴びよ…」



澪の友達が来るなら,ある程度身綺麗にしておきたかった。

今思えば,澪が友達をつれてくるなんて小学生以来のこと。

それも,中学年まで。

何故かそれ以降はパタリと来なくなったのだ。

訊ねても澪は何も教えてくれない。

でも,それよりも。

今の私には,気を紛らす何かが必要だった。


____________________
< 11 / 262 >

この作品をシェア

pagetop