臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
それに気づいた時には,現実でも澪を拒否していた。

澪の手を払った,乾いた音がする。

え?

驚いた澪の瞳の中には,何かに怯える私の姿があった。



「みお…?」

「ごめん。ちょっと今日は…なんだろ。疲れてるみたい。もう寝るね」

「澪!」

「ごめん!」



久しぶりに,漢字の表記になる程の鋭い声を聞いた。

どうして澪がそんなに焦った声を出すの。

なんで止めるの。

もう,今日は寝てしまいたかった。
< 110 / 262 >

この作品をシェア

pagetop