臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
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「___だから,ごめんね」



人通りの少ない道を歩きながら,私はスマホを耳に当てて話をする。

少し風が強いなと思った。

相手は少し間をおいて,私へ言葉を返す。




「いえ,お兄ちゃんが納得してるなら,私はいいです。寧ろ,やっぱり余計な事だったみたいで……本当にごめんなさい。追い詰めるような言い方をしてしまったと,反省しています」

「んーん。……麻冬ちゃんのお兄ちゃんを沢山傷つけて,ごめんね」



言いながら,どこまでも固い声の麻冬ちゃんに,どうしよっかなと考えた。



「…麻冬ちゃん。私は菖の妹な麻冬ちゃんとだけじゃなくて,百鬼麻冬ちゃんと話がしたいな。初めて会った時みたいに」
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