臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
あの時の麻冬ちゃんはもっと感情のまま動いていて,可愛らしかった。

本来の姿は,あっちのはずなのだ。

なのに私が個人的なことに巻き込んでしまって……



「…うん。澪ちゃんって,呼んでもいい?」

「うんっうん! もちろん!」



寧ろ私は,本当はそう呼んで欲しかったのだ。



「また,会いに行ってもいい?」

「いつでも」

「お兄ちゃんも?」

「ええ,一緒にお菓子を食べると約束したの」

「仲良くしてくれる?」

「うん。心配掛けてごめんね」



菖は多分まだ来ないけれど



「土曜日にでもおいで」



私達は1つ,小さな約束を交わした。
< 131 / 262 >

この作品をシェア

pagetop